注意すべきポイント
貸与型奨学金の注意すべきポイントを各ステージに分けて、解説します。
I.申請前~申請時
貸与型にも基準はありますが、給付型に比べて非常に緩やかです。まずは利用する月額ですが、金銭的に余裕のない学生生活は望ましくありません。入学金・授業料・施設整備費など大学に納入する費用、学生生活を送るうえで必要な費用を算出して、親子間でどのように分担するかよく話し合ってください。その上で、少し余裕をもった金額を利用するとよいと思います。特に1年目は出費がかさむので、気をつけてください。貸与月額は、利用途中でも見直すことができますので、少し多いなと思えば減額する方法もあると思います。
それに加えて、利用する可能性のある奨学金はとりあえず申し込んでおくというのもポイントです。
理由は、入学後の進学届(本申込の位置づけ)で利用を取り消したり、さまざまな項目や金額を変更したりできるからです。(※進学届で変更できる主な項目を参照)
予約採用でとりあえず申し込んでおき、進学届を提出しなければ奨学金をキャンセルしたことになります。キャンセルに伴うペナルティーはありませんので、ご安心ください。
奨学金は入学後にしか振り込まれません
進学前の入学金や、引っ越し費用、アパートの契約などには充当できませんので、注意が必要です。進学前の費用は事前に用意しておくか、国の教育ローンなどを検討しましょう。

II. 採用後編
日本学生支援機構 貸与型奨学金のスケジュールです。(予約採用の場合)

入学後に進学届を提出した後、返還誓約書を提出します。この返還誓約書が「金銭消費貸借契約書」になります。
つまり、借用証書のことです。貸与型奨学金が学生ローンである所以です。
人的保証を選択している人は、連帯保証人・保証人の署名・実印による押印・印鑑証明書の提出を求められます。下宿生は実家との書類のやり取りが求められる可能性があるので、余裕をもって準備しておきましょう。
進学届で変更できる主な項目

貸与型も1年ごとに奨学金の継続希望を確認する「適格認定」があります。
区分は以下の通りです。
- 継続:支給を継続する
- 警告:支給は継続するが、成績が向上しなければ次回の認定で廃止または停止の可能性がある
- 停止:1年以内で支給がストップされる
- 廃止:奨学生としての身分を喪失する
学業の成績不振で「留年」すると、一番重い「廃止」の処分もありえます。しっかりと学修意欲を持ちましょう。
III.卒業後編
いよいよ奨学金の返済ステージになります。
卒業月である3月まで貸与型奨学金を利用した学生は、その年の10月27日が1回目の返済日で毎月27日が返済日となります。
毎月しっかりと返済して、完済すればできていればよいのですが、問題は返済が延滞するようになった時です。
延滞1ヶ月 | 文書・SMS・電話による督促がされます。 2万円(前月分)+2万円(当月分)+2万円×3%÷12(延滞金)=40,050円 ※延滞は1ヶ月までに止めておかなければいけません。 |
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延滞2ヶ月 | 人的保証を選択している奨学生は、連帯保証人に延滞の通知がされます |
延滞3か月 | ブラックリストに登録されます。 自宅や勤務先に担当者が訪問することもあります。 |
延滞4ヶ月~8ヶ月 | [機関保証の場合] [貸与した総額=数百万円の一括返済を要求される] 延滞が解消されなければ、保証機関から日本学生支援機構へ本人に代わり返済され、保証機関が本人に一括請求します。 それでも延滞が続くと、遅延損害金10%が加算されて雪だるま式に借金が膨れ上がります。 [人的保証の場合] [貸与した総額=数百万円の一括返済を要求される] |
延滞9ヶ月 | 裁判上の手続きが始まります。 |