注意すべきポイント
給付型奨学金は「もらえる奨学金」ですが、注意すべきポイントもあります。
各ステージに分けて、解説します。
I.申請前~申請時
「世帯の収入が基準を少しオーバーしているけど、やはり採用されないかしら?」という人は、まずは申し込んでください。
収入基準はあくまで目安であり、各世帯の住民税の情報で審査されます。日本学生支援機構のHPにシミュレーションソフト(※)も掲載されていますが、あくまで出てくる情報は参考データです。
同じ世帯年収でも住民税情報が異なれば、結果が違うことはあります(▶給付型Q&A7を参照)。
繰り返しますが、まずは申し込んでください。
“高等教育の修学支援新制度”の対象校か確認する
専門学校志望の人は、入学を希望している専門学校が「高等教育の修学支援新制度の対象校か」を確認する必要があります。
給付型奨学金は支給を受ける人を審査するだけでなく、受け入れる学校も審査しています。大学はほとんどがその対象ですが、専門学校は全体の約75%程度の認定になります。確認方法は、
- 専門学校のHPを参照する
- 専門学校に問い合わせる
- 文部科学省のHPにある「高等教育の修学支援新制度 対象期間リスト」(※)を参照する
II. 採用後編
日本学生支援機構の奨学金は1年ごとの更新制です。採用された後も、1年ごとに審査があるとお考え下さい。
これを「適格認定」といいます。
つまり、4年制大学に進学した人は、4年間給付型奨学金をずっと受け取れると考えるのは間違いです。
適格認定ですが、4月には学業の観点から、そして10月には世帯の家計状況の観点から、それぞれ審査が毎年あります。10月には支援区分の見直しが行われます。
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(※1)高専や短大、修業年限が2年以下の専門学校は年2回実施されます。(※2)災害・傷病その他やむを得ない事由があると認められれば、支給対象となりえます。
学業基準については、授業にしっかりと出席してまじめに取り組んでいれば大丈夫と言える内容です。
当たり前ですが、学修意欲をしっかりと持たなければいけません。
給付型奨学金の財源は税金ですから、これくらいの基準は当然なのかもしれません。

(上記は4年制大学の例です。2年以下を修業年数とする短大や専門学校などは、学力基準審査が年に2回あります)
ポイント!
注意したいのは、毎年10月に区分(支給額)が見直されることです。
世帯の収入が上がることにより支援区分が下方向に見直しされることもありえます。
(逆に上方向への見直しもありえます。)
つまり、世帯の収入アップにより、今まで第1区分での支援が第2区分に変更されるなどの措置があります。そして、この世帯の収入アップの原因が学生本人のアルバイトによる稼ぎ過ぎであることも珍しくありません。
学生本人も住民税のかからない年間100万円までにアルバイト収入を抑えておきたいです。
日本学生支援機構の給付型奨学金と学費の減免はセットですから、下方向に見直された場合、給付型奨学金だけでなく「学費の減免」についても同様の措置を受けるということになります。国公立大学へ進学する第1区分の該当者であれば、授業料は実質的に無償です。しかし、支援が第1区分から第2区分に変更されると、学費の減免割合も下方向に見直されます。
このような事態に慌てる学生が一定数いることを耳にすることがあります。
給付型奨学金のみを受給している奨学生は、区分(支給額)の下方向への見直しに備えて、第2種貸与型奨学金も併せて利用しておくことがよいでしょう。そして、その貸与型奨学金はできるだけ貯めておき、困った時に利用する保険の意味があります。
III.番外編
予約採用で不採用だった学生とその保護者の皆様は、進学後の在学採用で給付型奨学金を申請し再チャレンジする価値は高いと考えます。家計基準の収入は、前年度の住民税情報により審査されますが、在学採用は収入面の審査において、基準が少し緩やかになるからです。
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控除額が8万円増額されていることに加えて、本人に弟や妹がいる場合で、弟や妹が中学3年生から高校1年生に進学すると、それまで支給されていた子ども手当がなくなり住民税の控除額が発生します。このような事象があると、給付型奨学金の審査にもプラスの影響があるということなのですね。
2022年度の案内書に記載されている収入の目安の対比
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この対比表をご覧いただくと、数字の上でも在学採用の方が有利であることがご理解いただけるかと思います。