2022年4月1日になりました。就職・進学と環境の変化が多い時期です。奨学金も高校3年生は「予約採用」、大学・短大・専門学校へ進学後に奨学金を申請する人は「在学採用」の時期を本格的に迎えます。給付型奨学金(返済の必要のなし)の申請を検討している人は、併せて貸与型奨学金(返済の必要あり)も申請しましょう。
理由は、給付型奨学金の1年単位での見直しです。これを「適格認定」と言います。家計基準(収入と資産)、そして学業成績の両面から、毎年、奨学金の継続を審査されます。つまり、給付型奨学金に採用されても、卒業まで継続することは保証されていません。家計基準(収入)は前年度の住民税情報をもとにして、毎年10月から支援区分を見直されます。最も給付額の高い第1区分に採用されていても、適格認定で第2区分になってしまうということも珍しくありません。背景として、保護者の収入が増えたなどの要因が考えられます。
上記のように第1区分 ⇒ 第2区分になると、給付型奨学金の額は2/3になります。あてにしていた奨学金が減額されるケースがあるのですね。(これとは逆に、保護者の収入が減った結果、増額のケースもあります。)給付型奨学金は学費の減免とセットになっているので、学費の減免にも影響があり、学費の自己負担額が増えることになります。
このような事態に備えて、貸与型奨学金も併せて利用しておくことが望ましいです。貸与型奨学金には第1種(無利子)と第2種(有利子)がありますが、第2種を利用する場合でも在学中は利息がつきません。これは第2種貸与型奨学金の大きな特徴の一つです。つまり、もし振り込まれた貸与型奨学金を使わなかったら、卒業時に一括返済するとデメリットはほぼないということになります。 ※機関保証を利用した場合は、保証料の支払いがあります。一括返済時も保証料は全額戻りません。
大学や専門学校の担当者と話をしていると、この適格認定による区分変更で慌てる学生が一定数いるとのこと。転ばぬ先の杖は考えておきたいですね。ただし、併せて借りた貸与型奨学金はあくまで保険の意味合いです。手元に現金があるからと言って、無駄な浪費は慎まなければいけません。また、給付型奨学金と第1種貸与奨学金(無利子)は併給調整と言って、第1種貸与型奨学金の希望額を利用できないことがあります。給付型奨学金の第1区分と第2区分に該当すると、第1種貸与型奨学金はほぼ使えないと思ってください。なお、この併給調整は第2種貸与型奨学金(有利子)にはありませんので、ご安心ください。