借金について考える
「できるだけ借金しないほうがよい」というのは言うまでもありませんが、18歳で成人になるとお金を借りやすくなります。ニュースや新聞の報道などによると、貸金業者の35%程度は18歳成人に保護者の同意なくお金を貸すそうです。
そこで、高校生の視点から「18歳成人と借金」について考えてみたいと思います。
貸与型奨学金のページでも触れていますが、進学に必要な奨学金といえども、貸与型奨学金は借金です。そして、クレジットカードのページにもありますが、クレジットカードのリボ払い(=分割払い)も利子を払っておりこれも立派な借金です。

ライフステージにおいて、借金が必要な場合もあります。上図の各ローンが代表的で利用者も多数います。
借金する場合、
- そのお金が本人にとって真に必要な資金であること
- 返済ステージにおいて、生活にゆとりをもってしっかりと返していけること
日本学生支援機構の第2種貸与型奨学金とクレジットカードのリボ払いの比較
この比較表をご覧いただくと、良い借金と悪い借金があることが理解いただけると思います。
借金をするリスク
18歳成人で借金をした時のリスクもあります。リスクが顕在化するのは、返済するステージにおいてでしょう。
返済を一定期間滞納すると、いわゆる「ブラックリスト」に登録されるリスクがあります。ブラックリストは個人信用情報機関に登録されることを意味し、金融機関が各個人の信用履歴(借金の状況やその返済状態)を一元的に把握することが可能です。

ブラックリストに登録されてしまうと、一般的には5年~10年間という長期間にわたって返済滞納の情報が掲載されてしまい、各種ローンを新規に組めなくなったり、クレジットカードを新しく作成できなくなったりします。ライフステージで真に必要な資金を借り入れるときに、支障がでる可能性があります。
借入時に連帯保証人・保証人をつけている場合は、その方々に返済を迫られるケースもあります。信用を失ってしまいますよね。(※連帯保証人・保証人の法的な位置づけや権利は異なりますが、ここでは詳細は割愛します。)
そして、最悪のケースは裁判上の手続きが始まりますし、自己破産もありえます。
金融教育の観点から、貸与型奨学金を利用すべきか?
この質問は相談会で高校生の保護者からしばしば受ける質問です。
大学などに進学させるにあたり、「教育費は子どもに負わせるのではなく親が負担する」という考えは人情だと思いますし、私もそうです。この考え方は東アジアで多いようですね。欧米では子どもや社会全体が教育費を負担すべきという考えもあり、国や地域で異なります。
子どもの大学などへの進学にあたり教育費をまかなえる家庭であっても、金融教育の観点から、貸与型奨学金を利用することに私は賛成です。メリットは以下の2点です。
- 学業に真剣に取り組む効果を期待できる
- 貸与型奨学金の本質が借金であり、金融のエッセンスがつまっている。金融を理解するためのいい教材である。
これらを踏まえて、親子間で進学費用についてよく話し合ってみてください。
